2022.05.06(金)21:06

【1】概要:
・東ドイツのRFTが1970~80年代に製造販売していたバスレフ方式のブックシェルフシステム、B2410/1のペアです。
i-img960x720-16518382623qshbo294742

・エンクロージャーを含めたすべてがRFT/VEBのオリジナルです。
・13cmフルレンジの傑作、L2322がユニットとして採用されています。
・L2322はスタジオモニターなどに多用されていたL2301の発展ユニットです。
・音の良さを保持して耐入力、周波数特性などが大きく改善されています。
・エンクロージャーはがっちりした構造のバスレフです。
・長いポートを有しており低音再生能力を向上させています。
・音は定評があり、シングルユニットの特長を最大限発揮したものです。
・小さなエンクロージャーからは想像できない豊かな低音が出てきます。
・高音もサブコーンにより良く出てきます。
・ボーカルなどに特に相性が良いようですが、JAZZ、クラシック全般を高い質で再生していると思います。
・点音源ですので位相の狂いがなく大編成オーケストラなども楽器が良く分離してきれいにステージが出現します。
・仕様の詳細は下記URLを参照ください。
https://www.radiomuseum.org/r/stern_sonn_b2410b_241.html
i-img1200x900-1651838287on0oiy252870

i-img1200x900-1651838272wxxejp294735
i-img1200x900-1651838273v9dyh9292025
i-img1200x900-1651838272q02ian292038

【2】ユニット
・型式:RFT/VEB L2322
・系譜:L2301→ L2302→ L2322 という流れの最終バージョンです。
・インピーダンス:4オーム
・定格入力:7VA(ユニット表示は10VAです)
・口径:130mm
・コーン:超軽量ダブルコーン
・状態:コーン、フレーム、マグネットは問題なく写真の通り極上です。
・ユニットの仕様については下記URLを参照ください。
   https://www.rft-hifigeraete.de/10320.html
i-img960x720-1651838267ve6hap251834
i-img960x720-1651838272slviit313330
i-img960x720-1651838277ye4bpy293898

【3】エンクロージャー
・RFTオリジナルです。
・型式:バスレフ
・サイズ:幅=180㎜、高さ=250㎜、奥行き=205㎜
・前面ネット:金属メッシュのネットでフルレンジ、およびバスレフポートが保護されています。
・裏板が外れる構造になっています。
・エンクロージャー内には音響用フェルトが充填されています。
・外装:オリジナルの状態で良好です。片側の天面に吊り金具用の小さな穴がありますが、黒パッドでカバーされており目立ちません。
・入力:2Pの圧着型端子を増設しましたので簡単にスピーカーケーブルを接続可能です。
i-img1200x900-1651838273sndiil301688

【4】音
・以下は主観ですのでご承知おきください。
・小型ですが許容入力値が大きいので、DENONの中出力無帰還アンプを使用しました。
・能率は高いので小出力の真空管アンプで十分な音量が得られます。
・最初に「ヘレンメリルウィズクリフォードブラウン」を聴きました。
・ヘレンのハスキーボイスの再現が素晴らしい!
・ブラウンの輝かしいトランペットも目の前で吹いているような実在感があります。
・次に大編成バンドのCDとしてカウントベイシーの「ストレートアヘッド」を聴きました。
・大編成でかつダイナミックレンジの広い演奏ですが危なげなく再生できました。
・このサイズからは想像できない強力な低音を得ることが出来ていると思います。
・また、ベイシーのリリカルなピアノに続く管楽器の咆哮がJAZZの醍醐味を感じさせます。
・クラシックの小編成、大編成もうまく再現しました。
・一般的な130mmフルレンジユニットの概念を覆すスケールの大きな再生が可能なシステムといえるかもしれません。

【5】測定データ
(1)周波数強度測定データ
i-img960x720-1651838285uejbqe313346

(2)測定環境
・スピーカー~マイク位置:0.5メートル
・スィープ信号出力帯域:20~20000Hz
・赤い線が周波数強度分布です。
・横軸は対数軸で、100Hz, 1KHz,10KHzの目盛表示があります。
(3)特性の感想
・左右の特性、能率はよく揃っていると思います。
・再生可能周波数帯域は+-3db評価で65~16000Hzと読めます。
・当時の130mm口径フルレンジとしては出色の広帯域再生と思います。