2022.03.27(日)21:38

【1】概要
・1957年頃に製作されたBlaupunktの当時のハイエンドコンソール(電蓄)=Riviera等に採用されていた13cm×18cm口径フルレンジ、 LA811/2zの良品ペアが天然木パイン集成材によるバスレフエンクロージャーにセットされたシステムのペアです。
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・Blaupunkt社は当時、製品がほとんど日本に輸入されていなかったせいか有名ではありませんが、1950-70年代のドイツではTelefunken, Loewe, Grundingなどと並ぶ著名オーディオメーカーでした。
・Blaupunktは「青い点」という意味で、当時の電気製品の厳しい検査を合格したマークからとられた社名です。
。従いましてその製品群は信頼性が高いことでも有名でした。
・ LA811/2zは家庭用のコンソール、ラジオあるいはムービーの音声などのサウンドモニターで使用されていたもので音は抜群に優れていると定評があったものです。
・造りもしっかりしており、外見も美しいユニットです。
・超軽量フィックスドエッジコーンなど多くの技術的特徴を有しており、下記に示す測定データでわかりますように、この時代のフルレンジとしては出色の再生可能帯域、高能率を達成している傑作です。
・音を聴くと古さは全く感じられず、シングルフルレンジから素晴らしい音楽が流れてきて驚きます。
・ストレスのない設計、マグネットなどへの物量投入が功を奏し、JAZZ, クラシックを問わず満足度の高い再生音が得られます。
・能率は高いので中小出力の真空管アンプでもガンガン鳴ります。
・典型的良質のジャーマンビンテージの音をぜひ体験してみてください。
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【2】システム
・型式:Blaupunkt  LA811/2z
・口径:132X182mm
・コーン:超軽量フィックスドエッジ
・音圧、音質は左右揃っています。
・インピーダンス:5オーム
・状態:良好。大きなダメージやさびは見当たりません。特にコーンは良好です。ガスケットは痛んでいましたので劣化しない素材で再作成しました。
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【3】エンクロージャー
・サイズ:幅200mm、高さ300mm、奥行210mm
・型式:バスレフ、直径=27mm、奥行き=65mmのバスレフポートを片チャンネル2本採用して低音の強化を図っています。
・材質:天地側面は節(ふし)の無い15mm厚のムク上級グレードパインの集成材、バッフルと裏板は12mm厚のMDFです。
・外装:120、240番のサンドペーパーで研磨し、次にワトコのナチュラルオイルと600番のサンドペーパーで繰り返し研磨し仕上げています。ビンテージ家具の様な仕上がりですのでご承知おきください。
・前面ネット:ブラックのジャージ布によるサランネットが付属します。
・入力端子:2Pの圧着方式端子でスピーカーケーブルを簡単に、かつ確実に接続できます。
・吸音材:裏板に設置するタイプです。

【4】音質i-img1200x900-1647414247y1tmle4462
・以下は主観ですのでご承知おきください。
・出力10Wの真空管無帰還アンプで試聴しました。
・能率が高いので12畳程度の部屋でも十分な音量が得られます。
・「ヘレンメリルウィズクリフォードブラウン」をまず聴きました。
・ボーカル、トランペットが生生しく鳴り、大きな満足感が得られました。
・次にマイルスデイビスのCBS録音「カインドオブブルー」とブルーノート録音「サムシンエルス」(キャノンボール名義ですが実際はマイルスがリーダー)を試聴しました。
・同じリーダーのバンドでもレーベルが違うとかなり異なる音になるのが興味深いです。
・両方とも音、演奏ともも素晴らしく、JAZZの大名盤であることが良くわかります。
・CBS版では非常に新しい感覚の音と演奏が静寂から立ち上がってきます。
・ビルエバンスのピアノ、コルトレーンのサックスが研ぎ澄まされた音で見事に再生されます。
・ブルーノート版では、なんといっても「枯葉」におけるマイルスのミュートトランペットが「これぞJAZZ!」という緊張感あふれるシャープな音で再生されます。
・ソロ楽器の音がよく前に出てくるシステムと思います。
・クラシックの「モーツァルト:ピアノ協奏曲集(第12~14番、室内楽編成版)ゴットリーフ・ヴァリッシュ(Vn)ピアッティ弦楽四重奏団」、「マーラー:交響曲第10番エリアフ・インバル指揮東京都交響楽団」を試聴しました。
・中高音が強力なコーン型ですので、弦楽器のボーイングも音が柔らかくかつ膨らまず安定して出てきますので安心して音楽を聴くことができると思います。
・アコースティックな音楽全般を透明感あふれる音で再生していると思います。
・点音源ですので位相特性が良く、大編成のオーケストラの再生においても、楽器の分離が良く、かつ奥行が良く出ます。

【5】測定データ
(1)測定データ:
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・一般的にビンテージシステム、ユニットは劣化している確率が低くないので測定して性能確認しておくと安心です。
(2)測定環境
・スピーカー~マイク距離:0.5m
・左右個別に同じスィープ信号で測定
・スィープ:20~20000Hz
・赤い線が周波数強度分布です。
(3)特性の感想
・左右の特性、能率はよく揃っています。
・75~15000Hzの帯域を再生可能と読めます。