2022.02.21(月)21:15

【1】概要
・1960年代に制作されたと推定される、RFT社の Space Age design 球形スピーカーシステムの整備済品、ペアです。
i-img960x720-16454441884aeekj474963

・このシステムはのちに開発される著名なKompaktbox B 7121の原型といえるシステムです。
・内蔵ユニットは13㎝口径ダブルコーンフルレンジの名器、L2301です。
・エンクロージャージャーはほぼ真球形で直径が約21cmあります。
・L2301には満足できる容積のため、深みのある低音が出てきます。
・バッフルの影響を受けない形状ですので音が空間にポッと浮かぶ感じの素晴らしい音場を作り出します。
・前面だけでなく、後方にも音が広がります。
・エンクロージャー素材は紙系の素材を固めたものと思われます。
・嫌な響きが出ない良い素材と思います。
・外装は漆喰の様な白色素材を吹き付けて、ザラザラの質感を持たせたユニークな仕上げです。
・スタンドは純正ではありませんが、球形エンクロージャーにはピタリの構造で角度も自由につけることができます。
・前面ネットは痛んでいましたので新規に、制作しました。
・主観ですが、10畳以下の中規模容積の部屋ではメインとして使用できる音質、音量を得ることができると思います。
i-img1200x900-1645444223akcsgp210675
i-img1200x900-1645444199zq3wh0216967
i-img1200x900-1645444200vpnoo8622502
i-img1200x900-164544420063jyf5202829

【2】ユニット
・型式:RFT/VEB L2301
・口径:130㎜
・コーン:軽量ダブルコーン
・インピーダンス:4オーム
・定格入力:6VA
・マグネットカバー:赤と黒で異なりますが、型式、仕様は全く同じものです。、
・状態:2本とも大きなダメージは無く良好
・ユニットに関しては詳細は下記を参照ください。
https://www.radiomuseum.org/r/fernm_leip_lautsprecherchassis_l2322.html
i-img960x720-1645444196kogzl7202829
i-img960x720-1645444204xzhyth476887

【3】エンクロージャー
・型式:球形、密閉型
・材質:紙系の素材を固めて制作されています。
・サイズ:球形部分の直径=210mm
・入力ケーブル:ユニット直付けで約2.5mのオリジナルケーブルが付属します。末端は直接銅線を出しています。そのままアンプかスピーカーケーブルに接続してください。
・状態:大きなダメージはありません。2本とも白、またはクリーム系のカラーです。
・スタンド:デスクトップ、またはスピーカースタンド上に置くための樹脂製スタンドが付属します。ピタリフィットしています。
・前面ネット:オリジナルが痛んでいましたので、木材とジャージ布で新たに制作しセットしてあります。廻すようにねじ込んでいただければ固定されます。音的には外した状態がベストです。
・レストア:内部外部の清掃、ユニットの清掃・再はんだ付け、前面ネット制作を実施しました
i-img1200x900-1645444200kqqvwd93139
i-img960x720-1645445275smhgkf79645

【4】音
・以下は主観ですのでご承知おきください。
・アンプはEL34プッシュプル(20W)を使用しました。
・能率は高いので出力が 3W 以上あるシングルエンド真空管アンプでも十分な音量が得られます。
・まずは、ユニット面を約30度上に向け、ビバルディ、モーツアルトの広いホールでの弦主体のクラシックCDを聴きました。
・音の放射パターンはほぼ360度ですので音が後面にも広がり、広がりをうまく表現しています。
・低音、高音とも十分です。
・これは素晴らしい!この種のソースには抜群の実力を発揮します。
・次に、ユニット面をリスニング位置に直接向け、JAZZサックスの名人=Sonny Stittのワンホーンコンボジャズを試聴しました。
・アルトサックスが前面に現れ、その後ろでリズムセクションが軽快にバックアップします。
・直接音だけでなくステージの大きさや、バックのメンバー演奏もうまく表現されます。
・総じてアコースティック系の音楽ソース全般に相性が良いと感じました。
・L2301の実力に改めて感心させられました。
・やまりこのユニットは名器ですね。

【5】測定データ
(1)測定データ
i-img960x720-1645444220ynx5ik476914
・ビンテージユニットを使用したシステムの場合、測定で特性を確認しておくと安心です。
(2)測定環境
・スピーカー~マイク位置:0.5メートル
・スィープ信号:20~20000Hz
・赤い線が周波数強度分布です。
・横軸は周波数の対数軸で、100Hz, 1KHz,10KHzの目盛表示があります。
(3)特性の感想
・左右の特性、能率はよく揃っていると思います。
・再生可能周波数帯域はあくまで参考ですが+-3dbの標準評価において65~15000Hzと読めます。
・小型のシステムとしては優秀な特性と言えます。
・エンクロージャーが密閉型ですので60Hz以下でもレベルは落ちますがしっかり反応していることが分かります。