2022.01.07(金)23:12

【1】概要:
・Telefunken社が1950年代に製造したと推定される傑作7inch(17.5cm)口径フルレンジユニット = ELA L 211 を天然木パイン集成材によるバスレフエンクロージャーにセットしたシステムのペアです。
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・主に業務用の可搬型シアターシステム、音声モニターシステムなどに活躍していた傑作です。
・出品の個体は外見は少しくたびれていて、コーンには補修跡もありますが、大きなダメージはなく高音質を保持していると思います。
・「ユニットの外観についてはクレームしない」という方の入札をお待ちしております。
・聴いた瞬間、非常に高能率で生き生きした音であることが分かります。
・1950年代のビンテージ7inch口径フルレンジとしては再生周波数帯域が広く、気持ちよく、素晴らしい音で鳴ります。
・このユニットは特に高域特性がよく、まるでツィータが内蔵されているようにシンバルの打音などが非常に生々しく再生されます。
・低音域はアルニコマグネット特有のカチッと締まった音が出てきます。
・JAZZのウッドベースランニングの音程が明快に出てきますし、音に弾力があります。
・なぜこんなに素敵な低音が出てくるのか不思議です。
・測定上の特性も良く、主観ですが1950年代のジャーマンビンテージとして最高の音の一つと思います。
・音楽ソースジャンルは選ばずオールマイティに素晴らしい音を聴かせてくれます。
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【2】ユニット、システム仕様:
・メーカー・型式:Telefunken純正、 ELA L 211 フルレンジ
・コーン:超軽量シングルコーン、フィックスドエッジ
・口径:7inch≒175㎜
・インピーダンス:4オーム(実測DCR 3.2Ω、3.3Ω)
・マグネット:TIGGES NT-1 つぼ型アルニコ
・周波数特性:実測結果=65~16000Hz、詳細は下記【5】を参照ください。
・能率が非常に高いことから、能率を犠牲に無理やり作り出した特性ではないことが分かります。
・巧みなコーン形状、最適なマグネットサイズ、センターキャップなどの工夫で能率を犠牲にせず得られた最高の特性といえます。
・これにより入力信号に対し、全くストレスを与えずに蛇口全開の生き生きした音が出てくるものと思われます。
・コーンの状態:コーン紙は再着色されています。裏面から補修跡が少しあります。それ以外は大きなダメージはありません。
・フレーム・マグネット:少しさびが出ていますが音には影響ない範囲です。
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【3】エンクロージャー
・サイズ:幅256mm、高さ360mm、奥行210mm
・型式:バスレフ、1本に対し41mm直径、奥行き70㎜の円柱形ポート2本を設置、このユニットに対し55Hzでチューニングしています。
・材質:天地側面は15mm厚のパインの集成材、バッフル、裏板はMDFです。パイン集成材は節の無い高級グレード品です。
・外装:100、240番のサンドペーパーで研磨し、次にワトコのナチュラルオイルと600番のサンドペーパーで繰り返し研磨仕上げています。
・前面ネット:赤のジャージ布によるサランネットを装備しています。黒またはロイヤルブルーに変更可能です。
・入力端子:2Pの圧着方式端子でスピーカーケーブルを簡単に、かつ確実に接続できます。
・吸音材:裏板に音響用フェルトを設置
・オイル仕上げの良い点は、年月が経ち外装がくたびれてきたときも再塗布すれば新品の様にきれいな状態に戻ることです。
・ニスを塗ってつやを出したシステムも素敵ですが、私は長期利用を目標にしていますのでオイル仕上げが気に入っています。
・天然木の響きは最高です。
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【4】音質
・以下は主観ですのでご承知おきください。
・アンプはTelefunken EL34シングルエンド(5W)を使用しました。
・明るく、前にグングン出てくる爽快な音です。
・ボーカル、声楽は特に生々しい再生に感じます。
・まるでそこで歌っているような感じがします。
・JAZZのコンボ、フルバンドとも音の洪水の様にはつらつと再生していると思います。
・シンバルなどの高音はツィータが内蔵されているような生生しさです。
・JAZZのウッドベースランニングの音は力強く、また音程は明快で、私の様に演奏を採譜する人間にはありがたいスピーカーです。

【5】測定結果
(1)測定データ
・出品システムの左右総合測定データ(周波数強度分布など)を示します。
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・特に海外のビンテージ品については厳密な測定結果があると安心です。

(2)測定環境
・スピーカー~マイク位置:1.0メートル
・左右個別に同じスィープ信号で測定
・スィープ:20~20000Hz
・赤い線が周波数強度分布です。
・横軸は対数軸で、100Hz, 1KHz,10KHzの目盛表示があります。
・画像10の特性図は、40Hz以下をカットして表示しています。
・当方の測定室の都合で暗騒音が入り込んでしまうためです。
・ご承知おきください。

(3)特性の感想
・左右の特性、能率はよく揃っています。
・厳しめの+-3dbの評価で65~16000Hzの帯域を再生可能と読めます。
・60年以上前に制作されたビンテージシングルユニットシステムとしてかなり広帯域でフラットな特性です。

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