2022.01.03（月）21:59
【1】概要：
・西独SABA社が1950～60年代に製造した18×24cm口径の傑作フルレンジユニット 5898,550,002 を、天然木パイン集成材によるバスレフエンクロージャーにセットしたシステムのペアです。
・このユニットはSABAの傑作で「グリーンコーンフルレンジ」として著名なユニットです。
・大型コンソール、あるいはスタジオモニターなどに活用されていたものです。
・音は現代的で、家庭用のフルレンジとして使用した場合は当時としてはワイドレンジで、現代でも十分通用する音と思います。
・特性の実測により、中低域がスムーズで、かつ高域はフルレンジとしてはかなり上まで伸びていることが分かりました。
・音楽ソースはJAZZもクラシックもOKでご機嫌に鳴ります。
【2】ユニット仕様
・インピーダンス：5オーム
・実測DCR：2本とも4,6Ωでピタリ揃っています。
・最大外径：180×240mm
・コーン：超軽量グリーンコーン、フィックスドエッジ
・マグネット：CKS製
・音質、能率共に良く揃っています。
・状態：片側のコーンに亀裂跡の修正があります(画像6左上写真の黄色枠）が、音には影響ないと範囲と判断します。そのほか以外はフレーム、マグネット含め大きなダメージは無く良好。
【3】エンクロージャー
・サイズ：幅256mm、高さ360mm、奥行210mm
・型式：片側40×70mmの円柱ダクト2本によるバスレフ
・材質：天地側面は15mm厚の天然木パインの集成材、バッフル、裏板はMDFです。
・パイン集成材は節（ふし）の無い高級グレード品です。
・外装：100、240番のサンドペーパーで研磨し、次にワトコのナチュラルオイルと600番のサンドペーパーで繰り返し研磨仕上げています。
・前面ネット：黒のジャージ布によるサランネットを装備しています。
・入力端子：2Pの圧着方式端子でスピーカーケーブルを簡単に、かつ確実に接続できます。
・吸音材：裏板に音響用フェルトを設置
【4】音
・以下の音質評価は主観ですのでご承知おきください。
・アンプはTelefunken EL34 シングル小出力（5W)真空管アンプを使用しました。
・高音、低音とも良く出てきます。
・60年前に制作されたユニットは思えない新鮮な音です。
・能率は高いので中小出力の真空管アンプに適しています。
・EL34シングルアンプでガンガンなります。
・アコースティック系の音楽に特に向いています。
・クラシックの弦、モーツアルト、ヴィバルディなどは見事な再生を行っていると思います。
・1950～70年代のJAZZ, POPS、映画音楽などとの相性もピタリです。
・シングルユニットですので当然ですが、定位は最高ですので音楽が立体的に立ち上がってきます。
【5】測定データ
(1)測定データ：
(2)測定環境
・スピーカー～マイク位置：1.1メートル
・左右個別に同じスィープ信号で測定
・スィープ：20～20000Hz
(3)特性の感想
・左右の特性、能率はよく揃っています。
・+-3dbの厳しめの評価基準で65-15000Hzが再生可能と読めます。
・全体的にシングルユニットとしては素直な特性で、音楽ソースを選ばずオールマイティに再生可能かと思います。
【6】企業紹介
・SABA社は1923年に現在のバーデンヴュルテンベルク州に設立されたドイツのエレクトロニクス企業です。
・時計メーカーとしてスタートし、その後ラジオメーカーとなり、数年後にレコードレーベルにもなりました。
・1931年、SABAラジオタイプS-35を10万台以上生産しました。それは市場で初めてベストセラーになったダイナミックスピーカーを用いた製品でした。
・第2次大戦後のオーディオに関して、SABAは積極的な活動を行い、多くの種類のラジオ、コンソールステレオシステムを世に送り出しました。
・特に家庭用のシステムは「グリーンコーン」と呼ばれる特徴的な緑色のコーン紙によるユニットが著名で多くの愛好家を生み出しました。
・出品システムのユニットがこれです。
・1960年代以降は、美しいエンクロージャーと音の良いユニットにより多くのシステムを生み出しました。
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