2021.12.27(月)14:23

【1】概要
・1950年代に製作されたVEB FUNKWERKのダブルコーンフルレンジユニット、 L 2153 PBK が天然木パインバスレフエンクロージャーにセットされたシステムのペアです。
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・VEB FUNKWERK は東独の音響製品制作組織でのちにRFT協会に統合され、その優秀な製品はヨーロッパ各地に出荷されていました。
・VEBはRFTの主要スピーカー制作組織で銘品を多く開発しています。
・出品のL 2153 PBK は超軽量ダブルコーン、大型マグネットなど多くの技術的特徴を有しており、この時代のフルレンジとしては出色の再生可能帯域、高能率を達成している傑作です。
・音を聴くと古さは全く感じられず、シングルフルレンジから素晴らしい音楽が流れてきて驚きます。
・エンクロージャーはこのユニットに最適な容積を有し、ユニットの背圧からの保護、音の抜け、低音増強を図ったマルチポートを持っています。
・ユニットはストレスのない設計で、かつマグネットなどへの物量投入が功を奏し、JAZZ, クラシックを問わず満足度の高い再生音が得られます。
・能率は高いので中小出力の真空管アンプでもガンガン鳴ります。
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【2】システム
・型式:VEB FUNKWERK L 2153 PBK。RFTに統合される前の製品です。
・音圧、音質は左右揃っています。
・インピーダンス:6オーム、実測DCRは2本とも4.6Ωでピタリ一致しています。
・定格入力:4VA(約10W)
・口径:外形直径=200㎜、コーン有効直径=180mm
・コーン:ダブルコーン、フィックスドエッジ
・マグネット:大型セラミック
・状態:良好。大きなダメージは見当たりません。コーン、フレーム、マグネットも良好です。
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【3】エンクロージャー
・サイズ:幅256mm、高さ366mm、奥行210mm
・材質:天地側面は15mm厚のムク上級グレードパインの集成材、バッフル、裏板はMDFです。
・パイン集成材は節(ふし)の無い良品です。
・型式:マルチポートバスレフ:奥行きの小さな円形ポート3個によるバスレフです。貴重なユニットですので、ユニット保護のため背圧の軽減を行っています。バスレフ的動作も確認しています。
・外装:120、240番のサンドペーパーで研磨し、次にワトコのドリフトウッドオイルと600番のサンドペーパーで繰り返し研磨し仕上げています。
・仕上がりは、ビンテージの雰囲気が強くなかなか良い感じです。
・縦横いずれでも使用可能です。
・バッフル、裏板はブラックのラッカーで仕上げています。
・前面ネット:黒のジャージ布と木製格子によるビンテージテイストサランネットが付属します。
・入力端子:2Pの圧着方式端子でスピーカーケーブルを簡単に、かつ確実に接続できます。
・吸音材:裏板に音響用フェルトを設置しています。
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【4】音質
・以下は主観ですのでご承知おきください。
・EL34プッシュプル、出力10Wのアンプで試聴しました。
・能率が高いので12畳程度の部屋でも十分な音量が得られます。
・マイルスディビスの1956年録音のPrestigeのマラソンセッション、4枚(「Cookin'」「Workin'」「Relazxin'」「Steamin'」)を聴きました。
・マイルスのトランペットソロ、コルトレーンの硬質なテナーサックスソロがスピーカーの前面に生々しく現れます。
・コルトレーンの10月録音の演奏は今聴いても驚くべき技術とハートがあり感動します。
・またポールチェンバースのこの当時の最高のベースが弾むように出てきて音楽をスィングさせています。
・心地よい再生なので、4枚のCDを一気に聴いてしまいました。
・ECMの比較的新しいキースジャレットトリオの再生も満足できるものでした。
・アコースティックな音楽全般を透明感あふれる音で再生していると思います。
・点音源ですので位相特性が良く、大編成のオーケストラの再生においても、楽器の分離が良く、かつ奥行が良く出ます。

【5】測定データ
・出品システムの総合測定データを示します。
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[測定環境説明]
・スピーカー~マイク位置:中心軸上1.0m
・スィープ:20~20000Hz
・赤い線が周波数強度分布です。

[特性の感想]
・左右の特性、能率は揃っています。
・厳しめの評価基準=+-3dbで65~14000Hzの帯域を再生可能と読めます。
・全体的に素直な特性で、1940-70年代の音楽ソースに相性が良いかと思われます。
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