2021.11.10(水)21:35

【1】概要
・1960年代に製作されたRFT/VEBのダブルコーンフルレンジユニット、L2302が内蔵されたブックシェルフまたはスタジオモニターシステムのペアです。
i-img960x720-1635945960bz2r1s901924

・ユニット、エンクロージャーともにRFTオリジナルです。
・L2302はRFT/VEBの13㎝口径フルレンジの傑作=L2301の後継機で、仕様・耐久性の向上が果たされた優秀なユニットです。
・大型マグネット、超軽量ダブルコーンにより構成されています。
・一般的な13㎝口径ユニットとは次元の違う本格的なHi-Fiサウンドと思います。
・音は力強く、大音量でも歪が少なくオールマイティに音楽を再生できるようになっていると思います。
・能率は高いので中小出力の真空管アンプでもガンガン鳴ります。
・音楽ソースはJAZZもクラシックもOKでご機嫌に鳴ります。
i-img1200x900-1635945977qoifna779169
i-img1200x900-1635945976icyfto998801
i-img1200x900-1635945978bahxip901932

【2】システム
・型式:RFT/VEB L2302
・インピーダンス:4オーム
・定格入力:6VA
・口径:130㎜
・コーン:ダブルコーン、ゴム系エッジ(劣化はほとんどしない素材です)
・状態:大きなダメージはなく極めて良好な状態。
・ユニット引き出しケーブル:RFTオリジナル
i-img1200x900-1635945979ezhnvd30988
i-img960x720-16359459683h8wga6525


【3】エンクロージャー
・型式:密閉型
・サイズ:幅=172mm、高さ=306mm、奥行き=210mm
・天地、側、裏板すべて木目シート仕上げですので縦横いずれでも使用可能です。
・サランネット:こげ茶のヴィンテージな雰囲気が素敵なクロスによる前面ネット付きで外すことができます。
・固定用ボタンの一つが破損していますが固定、および音には影響はありません。
・入力端子:2Pのハーモニカ端子を新設しましたのでスピーカーケーブルを簡単に、かつ確実に接続できます。
・状態:ビンテージ品ですので小さな傷、剥がれはありますが、全体としてはまあまあです。
・これらのビンテージシステムは新品の製品とは違う点をご了解いただける方の入札をお待ちしております。
・レストア:内部清掃、ユニット清掃・再はんだ付け、外装清掃などを行いました。
i-img960x720-16359459683h8wga6525

【4】音質
・以下は主観ですのでご承知おきください。
・EL34プッシュプル、出力10Wのアンプで試聴しました。
・能率が高いので十分な音量が得られます。
・アコースティックな音楽全般を透明感あふれる音で再生していると思います。
・点音源ですので位相特性が良く、大編成のオーケストラの再生においても、楽器の分離が良く、かつ奥行が良く出ます。
*****同一システムを購入いただいたFさんのコメント******
「このサイズからは想像できない深い低音、輝かしい高音が出てきて驚きました。音源が小さいので定位がシャープでとても気に入りました。夜間の中小音量ヒアリングの主役になりそうです」

【5】RFTについて
・このユニットにはRFT、VEBが併記されていますので、当時の複雑なドイツの状況を含めこれらの関連を説明します。
・第2次世界大戦後ドイツは東西に分割されました。
・東ドイツにおけるラジオやカセットレコーダー、ステレオやテレビなどの電化製品は、通常「ラジオ電信テクノロジー人民公社(VEB FUNKWERK)」で作られていました。
・これらの商品は最低限の生活必需品であるとは政治的には見なされておらず、贅沢品に見あう価格で、製品も西ドイツに劣らない、素晴らしいデザイン、品質のものが多く存在しました。
・RFTは、戦後、東側に残ったテレフンケンやシーメンスなどの音響機器メーカーの設備やエンジニアたちを集め、VEB FUNKWERKを中心に多くの組織を1つの国営企業集合体として統合された協会名称です。
・RFTはBroadcasting and Telecommunication Technologyの略称で、ドイツ民主共和国(GDR)におけるさまざまな通信会社の製造業者協会の名前です。
・会社の名前ではありませんので誤用に注意が必要です。
・従いまして、出品のユニットは、VEBが制作しRFT協会で販売したもの、ということになります。
・RFTでは多くの優秀な技術者たちのノウハウを生かして、数多くのスピーカー、オーディオ機器が設計・制作されてきました。
・出品のユニットはその中でも音が良いことに定評があり、業務用、一般用を問わず数多くのシステムに採用されていたものです。

【6】測定データ
(1)出品システムの測定データを図10示します。
(2)測定環境
・スピーカー~マイク位置:1.1メートル(ヒアリングポイント)
・スィープ:20~20000Hz
・赤い線が周波数強度分布です。
・横軸は対数軸で、100Hz, 1KHz,10KHzの目盛表示があります。
(3)特性の感想
・左右の特性、能率はよく揃っていると思います。
・再生可能周波数帯域は70~16000Hzと読めます。
・エンクロージャーが密閉型ですのでレベルは下がりますが55Hz付近からしっかり反応しています。
・能率の良いビンテージですので元気な特性と思います。
・中高域はさすがL2302で超高域まできれいに再生しています。