2021.09.14(火)13:29

【1】概要:
・欧州ビンテージ20cm口径大型フルレンジユニットを用いたシステムのペアです。
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・ユニットはソビエト連邦(CCCP)国営企業が1970-80年代に製造したKlangfilm仕様の20㎝口径フルレンジです。
・欧州のムービー基本規約であるKlangfim仕様に準拠しており、主にシアターウォール、音声モニターなどの業務用システムに使用されていた名品です。
・出品のユニットはシアター、あるいは大人数のパブリックアドレス用のシステムなので、特にJAZZ, ポピュラー、ボーカルなどは非常に生々しく再生しています。
・現代の低能率のスピーカーと異なり、様々な機械的ストレスがほとんど無いヴィンテージユニットは周波数特性に粗さはありますが、アンプからの入力信号を余すところなく快活に再現します。
・能率が高いということは微小音を消し去ることなく音にするということになります。
・機械的制約がほとんどないので、その結果能率は非常に高く、中小出力真空管アンプにも最適です。
・エンクロージャーはほぼCUBE形態で、外装はゼブラウッドの突板仕上げですのでカフェ、リビングルームなどおしゃれな空間でも使用可能です。
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【2】システム・ユニット仕様と状態:
・型式:4GD-35
・口径:20cm
・エッジ:フィックスド
・インピーダンス:4Ω
・コーン:超軽量ストレートコーン、フィックスドエッジ
・最大入力:15W
・周波数レンジ:65~13000Hz
・状態:大きなダメージやさびはなく良好。特にコーンはきれいです。
・入手時点で、入力端子のハンダ付けの跡はなく、そのほか大きな汚れはありませんでした。
・コーンのハリ、エッジの弾力も十分で音もフレッシュです。
・ユニット引き出し用のケーブルはTelefunken製です。
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【3】エンクロージャー:
・サイズ:幅250mm、高さ274mm、奥行き210mm
・材質:MDF
・仕上げ:天側3面がゼブラウッド板目の突板。ワトコのナチュラルオイルフィニッシュ、バッフルは黒のラッカー仕上げです。
・前面ネット:ロイヤルブルーのジャージ布によるサランネット付
・入力端子:2Pの業務用ハーモニカ端子。
・前面、後面には杉の木口材を貼りペーパーで研磨しており、MDFの断面は一切見えない構造です。
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【4】音:
・以下は主観ですのでご承知おきください。
・能率が高く中音が充実した音です。
・1950年~70年代のJAZZはソロがぐんぐん前に出てくる再生でよくスイングします。
・ソニークラークの「クールストラッティン」ではアルトサックス、トランペットのソロが前にせり出しハードバップの醍醐味を味わえます。
・ボーカルは抜群の再生を示します。
・「ヘレンメリル ウィズ クリフォードブラウン」ではボーカル、トランペットが前に出てきて非常に生生しく再生されます。
・フィリックス・アーヨの「四季」は落ち着いた弦の響きが素晴らしいです。
・点音源ですのでホールの大きさがうまく再生されていると思います。
・ボーカル、およびアコースティック系の音楽には非常に相性が良い様です。
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【測定データ】
・測定データ開示のご要望が複数ございますので、今後できるだけ周波数特性図などを開示していきたいと思います。
・測定済のシステムであれば安心かもしれないですね。
・出品システムの測定データを下記に示します。
・画像をクリックすると拡大表示され見やすくなります。
スライド13
スライド14

【測定環境説明】
・スピーカー~マイク位置:1.1メートル
・左右個別に同じスィープ信号で測定
・測定システム:WebSpectra V1.51(最新)
・スィープ:20~20000Hz
・赤い線が周波数強度分布です。
・線が細いので画像を拡大すると確認しやすくなります。
・横軸は対数軸で、100Hz, 1KHz,10KHzのメモリ表示があります。
・35Hz以下は暗騒音などですので、特殊なサブウーハー付きの場合を除き表示をカットしています。

【特性の感想】
・できるだけ客観的に解説したいと思いますが、一部主観が入ります。
・ご容赦ください。
・左右の特性、能率はよく揃っています。
・アバレはありますが65~15000Hzの帯域を再生可能と読めます。
・全体的にかまぼこ型特性で、1950-60年代のJAZZやPOPSの再生は得意そうな感じです。
・超高域の15000Hzまできれいに再生していますので音楽自体はクリアに気持ちよく鳴っているようです。

【聴力の点検について】
・余計なお世話と叱られてしまうこともありますが、重要なことですので記載させてください。
・高齢になるに従い、聴力は劣化します。
・特に高音側が聞こえなくなります。
・そうするとかなりハイ上がりのスピーカーが好まれるようになり、スピーカーシステムのバランスは崩れることになります。
・先日も「片側の高音が出なくなった」とのことで、近くの高齢の方でしたので調査に行きましたら、原因はシステムの問題ではなくリスナーの方の聴力劣化でした。
・私の耳特性は良い方(^^)(20歳位の感度、実年齢は68歳)ですが、それでも実際に聞こえるのは12000Hzまでです。
・耳能力測定は下記YouTubeで簡単に確認できます。
https://www.youtube.com/watch?v=kXLf7hVl4_c
・必ずヘッドホンを使用してください。
・パソコンやスマホのスピーカーでは最低音、超高音領域ほとんど再生不可能ですので。
・左右の能力の劣化度合いが違いますとステレオの音もゆがみますので、ぜひ測定してみてください。
・この場合の補正はデジタルグラフィックイコライザー(最近高性能機が安価で入手できます)で比較的簡単にできます。