2021.08.30(月)16:37

【1】概要:
・1960~70年代のRFTの業務用シアターシステムの構成にツィータをセンターに配置したやや大型のシステムのペアです。
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・フルレンジは、RFT/VEBの傑作L6501、ツィータはL9801です。
・L6501あるいはL6506の片チャンネルダブル使用システムは大音量、高品質が要求される場面で素晴らしい性能を発揮してきました。
・出品のシステムは一般ユーズでも高音を十分確保できる様にフルレンジのセンターにツィータを配置した、いわゆるバーチカルツィンです。
・エンクロージャーは十分な容積を確保していますので、凄い低音が出てきます。
・この2Wayはとにかく音が良く、民生用のシステムとしてはRFTだけでなく当時のECのHi-Fi用のシステムとして頂点に位置するもののひとつと思います。
・レンジも広く、音に芯があり、ピラミッド型の安定した音です。
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【2】システムの仕様:
・フルレンジ:型式=L6501
・口径:250×160㎜
・ツィータ:型式=L9801
・クロスネットワーク:4.7マイクロファラッドのローカットコンデンサ (新品、オーディオ専用フィルムコンデンサ)で構成。
・全ユニットは目立つダメージはありません。
・L6501の仕様は以下の通りです。
・インピーダンス:4 Ω
・再生周波数帯域:60~ 14,000 Hz.
・音圧レベル:96 dB/W
・日本でも人気があるようで「RFT L6501 L6506」でインターネット検索すると多くの記事が出てきます。
・L6501がオリジナルでその発展バージョンがL6506になります。
・私もL6506ツィンシステムは5年前に2セット制作販売しました。
・一方、L6501は国内にほとんど入荷していないと思われます。
・今回良品を2ペア入手できましたのでシステムを制作しました。
・今後も入荷の予定がありません。
・複数段サスペンション、超軽量フィックドエッジコーンなど多くの特長が満載です。
・とにかく音が速くて、素晴らしい音質により最高のユニットのひとつとして評価を受けています。
・ツィータのL9801はコンプレッションドライバ並みのマグネットを有する強力なもので、再生可能周波数は20000Hz以上まで伸びています。
・システムのインピーダンスは4オームです。
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【3】エンクロージャー:
・サイズ:幅330mm、高さ900mm、奥行き210mm、RFT指定より大きなサイズになっています。
・材質:天地側面は15mm厚のムク上級グレードパインの集成材、バッフルと裏板は12mm厚のMDFです。
・パイン集成材は節(ふし)の無い良品です。
・外装:120、240番のサンドペーパーで研磨し、次にワトコのナチュラルオイルと600番のサンドペーパーで繰り返し研磨し仕上げています。
・前面ネット:黒色のジャージ布によるサランネットが付属します。
・入力端子:2Pの圧着方式端子でスピーカーケーブルを簡単に、かつ確実に接続できます。
・吸音材:裏板に音響用フェルトを設置しています。
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【4】音:
・以下は主観ですのでご承知おきください。
・McIntosh C34Vプリアンプ、DENONの300W無帰還パワーアンプを使用しました。
・一聴して、分厚い低音、安定した音の出方に驚きます。
・オスカーピーターソンンのVerveの「ソングブック」シリーズ」はかなりの種類が発売されています。
・どれも素晴らしい演奏と録音ですが、特にレイブラウンのウッドベースが太くハイレベルで録音されていますのでサウンドチェックには最適です。
・「コールポーターソングブック」と「フランクシナトラソングブック」は曲が素晴らしく大いに楽しめます。
・レイブラウンのベースが強力に鳴り、部屋中を良質のJAZZが満たします。
・ツィンフルレンジの音は強力ですね。
・次にカウントベイシーの「ストレートアヘッド」を大音量で聴きました。
・録音の良いビッグバンドは快感です。
・ストレスのないJAZZが目の前に現れます。
・そのほかボーカル、映画のサウンドトラックなどを楽しみながら聴きました。
・どれも安定した再生音でした。

【5】企業紹介
・出品のユニットにはRFT、VEBが併記されていますので、当時の複雑なドイツの状況を含めこれらの関連を説明します。
・第2次世界大戦後ドイツは東西に分割されました。
・東ドイツにおけるラジオやカセットレコーダー、ステレオやテレビなどの電化製品は、通常「ラジオ電信テクノロジー人民公社(VEB FUNKWERK)」で作られていました。
・これらの商品は最低限の生活必需品であるとは政治的には見なされておらず、贅沢品に見あう価格で、製品も西ドイツに劣らない、素晴らしいデザイン、品質のものが多く存在しました。
・RFTは、戦後、東側に残ったテレフンケンやシーメンスなどの音響機器メーカーの設備やエンジニアたちを集め、VEB FUNKWERKを中心に多くの組織を1つの国営企業集合体として統合された協会名称です。
・RFTはBroadcasting and Telecommunication Technologyの略称で、ドイツ民主共和国(GDR)におけるさまざまな通信会社の製造業者協会の名前です。
・会社の名前ではありませんので誤用に注意が必要です。
・従いまして、出品のユニットは、VEBが制作しRFT協会で販売したもの、ということになります。
・RFTでは多くの優秀な技術者たちのノウハウを生かして、数多くのスピーカー、オーディオ機器が設計・制作されてきました。
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