2021.03.29(月)21:31

【1】概要
・RFTが1960年代に制作した L 2259 PBO/Eシステムの完全オリジナル良品ペアです。
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・エンクロージャー含めすべてRFT/VEBオリジナルです。
・中型のコンソールステレオ用のシステムですが単品でも発売されていた様です。
・何といっても外観が格好良くインパクトがあります。
・また使用されているユニットは155X215mm口径の大型ユニットで、音の良さでは定評があるものです。
・小型の密閉箱に大型ユニットを装着する手法はジャーマンビンテージシステムの定番です。
・音はこの大きさからは想像できないのびやかで低音と高音が良く出てくる素晴らしいものです。
・やはりオリジナルの箱、あるいは指定の箱によるシステムは素晴らしいですね。
・密閉箱、良質の吸音材、響きの良い木材がうまく作用しています。
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【2】ユニット
・型式:RFT/VEB  L 2259 PBO/E
・口径:155 X 215mm
・コーン・エッジ:ダブルコーン、フィックスド
・インピーダンス:15オーム
・定格入力:3VA
・状態:後方からオリジナルの布カバーがコーン背面を覆っていますのでオリジナルの状態をほぼ保っているものと思います。
・ユニットはオリジナル状態のままで外していません。
・画像7は手持ちの全く同じ型式のユニットを撮影したもので、コーン、フレーム、マグネットの様子がよくわかると思います。
・このユニットは格好が良いだけでなく、最適エンクロージャーと相まって音は抜群です。
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【3】エンクロージャー
・型式:密閉箱
・材質:木製
・前面:金属による横スリットの格好が良いものです。
・サイズ:幅=190mm, 高さ=345mm, 奥行=115mm
・入力:DINスピーカー接続規格のメスが装着されています。
・ケーブル:DIN規格のオス端子のついたケーブル、約2.5メートルが付属します。末端は芯線直だしですので一般的なスピーカーケーブルにすぐにつなげることができます。
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・レストア:大きなダメージもなく入手時点で良品でしたが、さらに以下のレストアをしました。
・内部清掃、ユニットの再はんだ付け、ユニット清掃、入力DIN端子部分の清掃、外装のクリーニング。
・ジャーマンユニットは指定の箱、あるいは指定のサイズの箱を使用することがベストです。
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【4】音
・McIntosh C34V+EL34 P-P(10W)アンプで試聴しました。
・能率は非常に高いので3W程度のアンプで十分な音量が得られます。
・1950-80年代のJAZZ, クラシックなど音楽ソースを問わず反応の良い生き生きした音が楽しめます。
・素晴らしい!

【5】RFTについて
・以下はドイツのRFTに在籍していたエンジニアから入手した興味深い情報です。
・誤りがある場合は指摘ください。
・このユニットにはRFT、VEBが併記されていますので、当時の複雑なドイツの状況を含めこれらの関連を説明します。
・第2次世界大戦後ドイツは東西に分割されました。
・東ドイツにおけるラジオやカセットレコーダー、ステレオやテレビなどの電化製品は、通常「ラジオ電信テクノロジー人民公社(VEB FUNKWERK)」で作られていました。
・これらの商品は最低限の生活必需品であるとは政治的には見なされておらず、贅沢品に見あう価格で、製品も西ドイツに劣らない、素晴らしいデザイン、品質のものが多く存在しました。
・RFTは、戦後、東側に残ったテレフンケンやシーメンスなどの音響機器メーカーの設備やエンジニアたちを集め、VEB FUNKWERKを中心に多くの組織を1つの国営企業集合体として統合された協会名称です。
・RFTはBroadcasting and Telecommunication Technologyの略称で、ドイツ民主共和国(GDR)におけるさまざまな通信会社の製造業者協会の名前です。
・会社の名前ではありませんので誤用に注意が必要です。
・従いまして、出品のユニットは、VEBが制作しRFT協会で販売したもの、ということになるそうです。
・RFTでは多くの優秀な技術者たちのノウハウを生かして、数多くのスピーカー、オーディオ機器が設計・制作されてきました。
・出品のユニットはその中でも音が良いことに定評があり、業務用、一般用を問わず数多くのシステムに採用されていたものです。