2021.03.02(火)22:02

【1】概要
・1970-80年代に製作されたRFT/VEBのダブルコーンフルレンジユニット、L2322が内蔵されたブックシェルフまたはスタジオモニターシステムの逸品、B2410 レストア品のペアです。
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・バスレフ方式が採用されているため低音域が豊かになっており、それにより再生音のスケールが増加しています。
・レストア後の音は優秀な大型システムに迫る驚くべき音質、美音です。
・ユニット、エンクロージャー含めRFTオリジナルです。
・エンクロージャーは15mm厚の強固な板、強力な構造により不要な鳴きが抑えられています。
・L2322はRFT/VEBの13㎝口径フルレンジの傑作のひとつで、大型マグネット、超軽量ダブルコーンにより構成されています。
・RFTの本格的な13㎝口径フルレンジユニットはL2301に始まり、L2302へ進化し、最終的にL2322になりましたので完成度、最大入力などは格段に向上しています。
・音も力強さが加わり、大音量でも歪が少なくオールマイティに音楽を再生できるようになっていると思います。
・出品のシステムは小さな傷や剥がれがありましたができるだけ修復しました。
・ユニットはダメージのない良品です。
・能率は高いので中小出力の真空管アンプでもガンガン鳴ります。
・音楽ソースはJAZZもクラシックもOKでご機嫌に鳴ります。
・本システムについては下記のラジオ名器ミュージアムサイトで紹介されています。
https://www.radiomuseum.org/r/stern_sonn_b2410b_241.html
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【2】ユニット仕様
・型式:L2322
・インピーダンス:4オーム
・定格入力:10VA(約15W)
・口径:130㎜
・コーン:ダブルコーン、ゴム系エッジ(劣化はほとんどしません)
・状態:コーン、フレーム、マグネットとも大きなダメージはなく良好です。
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【3】エンクロージャー
・サイズ:幅=185mm、高さ=250mm、奥行き=205mm(入力端子含)
・形式:丸形形状のポートと長いダクトによるバスレフ。L2322に対して低音域をうまく増大させていると思います。
・材質:15mm厚の木材で構成されています。重量があります。
・前面:ユニット前面、ポート前面は金属のメッシュで保護されています。前面は固定されており外れません。
・後面:木ねじで固定されていますので外すことができます。
・ユニット固定:1個のユニット当たり3個のがっしりした金具で固定されています。ねじを緩めることでユニットを簡単に交換することができます。
・L2301, L2302などに交換して楽しむことができます。
・入力端子:2Pのハーモニカ圧着端子タイプを新設しましたのでスピーカーケーブルを簡単に、かつ確実に接続できます。
・状態とレストア:小さな傷、剥がれはありますが全体としてはまあまあきれいな状態です。内部の清掃、ユニットの再はんだ付けなどを行いましたの長期的な使用を可能としています。
・なお、本システムはスタジオでなく家庭で使用されていたものとのことで、壁釣り用の穴、ペンキ飛びなどは無く、後面、側面もきれいです。
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【4】音質
・DENONの300W無帰還アンプで試聴しました。
・能率は高いので小出力真空管アンプでも充分な音量が得られます。
・3人のマニアに集まってもらい写真後方の大型JBLビンテージシアターシステムと瞬時切り替え方式でブラインド試聴しました。
・中小音量では判別がつかないほどの高品質再生が行われ、私自身が驚きました。
・この小さなキャビネットから12畳のリスニングルームを満たす生き生きした音があふれ出てきます。
・RFTのスピーカーはほとんどが素晴らしい音ですが、このサイズでここまでの再生を行うシステムは稀です。
・クラシック、JAZZともシステムの大きさを忘れるスケール感が出ます。
・点音源なので位相の回転がなく楽器数が多くなってもきれいに分離します。

【5】RFTについて
・このユニットにはRFT、VEBが併記されていますので、当時の複雑なドイツの状況を含めこれらの関連を説明します。
・第2次世界大戦後ドイツは東西に分割されました。
・東ドイツにおけるラジオやカセットレコーダー、ステレオやテレビなどの電化製品は、通常「ラジオ電信テクノロジー人民公社(VEB FUNKWERK)」で作られていました。
・これらの商品は最低限の生活必需品であるとは政治的には見なされておらず、贅沢品に見あう価格で、製品も西ドイツに劣らない、素晴らしいデザイン、品質のものが多く存在しました。
・RFTは、戦後、東側に残ったテレフンケンやシーメンスなどの音響機器メーカーの設備やエンジニアたちを集め、VEB FUNKWERKを中心に多くの組織を1つの国営企業集合体として統合された協会名称です。
・RFTはBroadcasting and Telecommunication Technologyの略称で、ドイツ民主共和国(GDR)におけるさまざまな通信会社の製造業者協会の名前です。
・会社の名前ではありませんので誤用に注意が必要です。
・従いまして、出品のユニットは、VEBが制作しRFT協会で販売したもの、ということになります。
・RFTでは多くの優秀な技術者たちのノウハウを生かして、数多くのスピーカー、オーディオ機器が設計・制作されてきました。
・出品のユニットはその中でも音が良いことに定評があり、業務用、一般用を問わず数多くのシステムに採用されていたものです。
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